代表者インタビュー
当社グループのコアビジネスである自販機事業を取り巻く環境が大きく変わる中で、2014年、髙松富也が代表取締役社長に就任しました。その後、当社グループは、海外での事業展開をはじめとした新たな事業に取り組むとともに、現在はグループミッション2030を掲げ、自販機事業の再成長とヘルスケア領域での事業の拡大をめざしています。グループの変革の陣頭指揮をとる髙松富也が、どのような人物で、どのような想いを秘めているのか、お伝えいたします。
(2022年1月)
- 経営者としての
歩みと学び - 入社からこれまでの
歩みを振り返って - これからの
DyDoグループ - 経営者の素顔
経営者としての歩みと学び
大学卒業後は、スマートハウスで世の中を便利にしたいという想いから大手電機メーカーに就職しました。配属先は人事部でしたが、社員の人生をも左右をする仕事に重責を感じつつも、当時は中途採用を積極的に行っていたことから、異なる分野の多くの人の話を聞く機会も多く、やりがいを覚えていました。その頃は、いつかは家業を継がなければいけないという思いは心のどこかにはありましたが、仕事にすっかりのめりこんでおり、まだまだ先の話だと思っていましたし、どちらかと言うと「オーナーとして継ぐ」という感覚であり、経営の中枢に入る意識はそれほど強くありませんでした。
働き始めて3年が経過した2004年、創業者である祖父が亡くなり、DyDoグループ創業時のエピソードを改めて知る機会がありました。家庭内では、祖父も、先代の社長を務めた父も、家業や後継ぎについての話も一切されませんでしたが、その時に祖父が愛し、育ててきた事業を引き継いでいくことを自分自身の使命のように感じ、DyDoグループへの入社を決心しました。
社長就任時に、経営の大先輩である方から、時計の針に例えた3つの視点を教えていただきました。「秒針」の視点では、日々のビジネスの状況を常に把握して、その日の課題に即座に対応し、結果や成果を出し続けていきます。「長針」の視点では、1~3年程度の見渡せる範囲で、年度ごとの業績を管理して目標を達成していきます。そして、「短針」の視点では、10年、20年といった時間軸で、世の中がどのように変化するのかを見定めた上で、会社の方向性を決めて、示していきます。このような3つの時間軸での視点を意識しながら、仕事を進めています。
1巻では理念経営の重要性を説いていますが、2巻では理念経営を前提に、GoodからGreatな企業になるために必要なことを示しています。ここ数年の当社の状況や、めざしていく姿に重なる部分があり、共感する点が多くあります。社長就任後、まず始めに、全国の拠点を巡回して全従業員にグループ理念・グループビジョンに込めた想いを伝え、コミュニケーションを図ったのも、理念経営の重要性を認識していたからです。これからはまさにGreatな企業になるために、さらなる飛躍をめざしていきます。
入社からこれまでの歩みを振り返って
私が当社グループに入社したのは2004年ですが、ちょうどその頃から、私たちのコア事業である自販機ビジネスの市場は、緩やかながら減少に転じています。入社後は、自販機を管理するルートセールスから入り、社内の業務を一通り現場で学んだ後、自販機ビジネスを統括する立場となり、不採算自販機の整理や、組織体制の見直しなどの構造改革を推し進めました。社内での反発もありましたが、将来にわたって自販機事業を続けるために必要な改革であると、粘り強く説明を重ね理解を求めました。社長であった父は、長年やってきた体制を改革だけに、思うところがあったように後から人づてに聞きましたが、改革の必要性に対する私の考え方について同意し、支えてくれました。痛みを伴う改革でしたが、それが達成できたのは、従業員や父の理解があってのことだと思っています。
2014年に社長に就任するのと同時に行ったのが、グループ理念「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」の策定です。
当社グループは、祖父が起こした配置薬の事業はもちろん、現在のコアビジネスである自販機事業はロケオーナー、商品製造を委託するメーカー、地域ごとの物流会社など、多くのみなさんに支えられて成り立ち、また成長してきたビジネスであり、「共存共栄」の精神は私たちがなによりも大切にしているものです。
グループ理念の前段は当社の文化ともいえる「共存共栄」の精神を謳ったものですが、私は後段に「チャレンジ」を追加しました。長年自販機ビジネスで成長してきた、厳しく言えば成長することができた当社にとっては、これまで通り真摯に自販機ビジネスに取り組んでいけば、やっていけるという空気がありました。変化の大きい時代には、その変化に対応できる企業だけが生き残れます。そこで自ら積極的にチャレンジし、ビジネスの変革をしていく必要性を社外に宣言し、また社内の企業風土を変えていくためにも「チャレンジ」を掲げました。
チャレンジはリーダーである私自ら取り組んでいくものでもあります。先に触れた自販機事業の構造改革に加え、流通チャネルの強化や、サプリメントを中心とする通販チャネルを立ち上げ、高成長事業へ育成するなど、自販機以外のチャネルで成果が出てきています。また、中長期的な成長の実現に向け、海外飲料事業の強化や希少疾病の医療用医薬品事業への参入など、これまでの既存ビジネスの拡大による成長から、事業ポートフォリオの拡充による成長へとステージを変えることができたと自負しています。
これまで取り組んできた中には、残念ながら成長に至るまで芽を育てられなかった事業もあります。ただ、それにより会社としても、新規事業に対するポリシーやそれを実現するための実行力もずいぶん磨かれてきたと感じています。
これからのDyDoグループ
社長就任以来、様々な改革を進め、従業員もそれに応えてくれていますが、「チャレンジ」の精神は、まだ根付いたと言い切れない面があります。2020年には新型コロナウイルスが世界を席巻し、事業環境は大きく変化しています。言い古された言葉ではありますが、変化はチャンスです。また、今起こる変化はこれまでになく大きく、逆に言えば私たち自身がいち早く変化に対応すれば、チャンスも大きくなります。従業員一人ひとりには志を持ち、強い心をもって行動していってもらいたいと思います。グループ理念に掲げる「ダイナミックにチャレンジを続ける」ことが私たちの企業文化まで昇華できるよう、私自身も挑戦を続けていきます。
DyDoグループの事業の変革に取り組んできた少し前までは、自販機が果たしている最大の価値でもある「利便性」を追求することで、人々の暮らしの質を上げていきたい、と考えていました。今は、その先にあるのは、また少し違うものであるように感じています。
当社グループが50年先、100年先も持続的に成長を続けるためには、事業を変革していくことに加えて、地球市民として何を果たすべきか、ということが大切です。
私たちの事業フィールドは国内外に広がってはいますが、グローバル企業や業界のリーディングカンパニーとは違い、私たちの商品やサービスを通じて、直接的に人々の健康に商品やサービスで貢献できることはごく一部です。ただ、それらを通じて、世の中の意識が高まり、生活の質が変わり、健康寿命の延伸が実現していくことをめざしたいと思います。環境に関しても同じです。当社グループだけが頑張ってできることは限られていますが、当社グループの活動や従業員の行動を通じて人々の環境意識が高まり、行動につながり、社会全体が動いていく、そんな企業でありたいと考えています。
経営者の素顔
小学生で始めた野球は体が大きかったこともあり、エースで4番、中学・高校ではキャプテンを務めるなど、野球にのめりこんだ学生時代でした。大学では選手層が厚く、一転してプレーで力を発揮することができず、挫折を感じながらも、いかに課題を克服するか、チームの中でどう役割を果たすかなど、多くのことを学びました。野球を通じて身につけたチームワークは、1つのチームである会社をいかに経営していくか、という点で活かせるところがたくさんあるように感じています。
本来は喜怒哀楽が激しい性格で、プライベートでは感情が顔に出ることもありますが、何があっても動じない冷静な経営者をめざしています。そのため、ポーカーフェイスに見えることもあるようですが、新しいことに取り組んでいるときなどは、心の中でワクワクしています。
最新のウェアラブルデバイスには常に興味を持っています。もう何年も前からライフログやバイタルデータをアプリに蓄積して日々の健康状態をチェックしています。従業員にも常々話していますが、良い仕事をするためには、何と言っても体が資本です。運動・食事・飲酒・睡眠の4つの生活習慣において、常に適切な習慣を維持できるよう心掛けています。運動では、週に2~3度のジョギングで、月間100km程度走り、健康の維持増進に努めています。今では走ることが趣味にもなり、毎年フルマラソンにもチャレンジし、昨年はサブ4達成することが出来ました。
今は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、色々なイベントが中止を余儀なくされています。マラソン大会もそうですが、私たちが応援している日本の祭りも今年は大半が中止になりました。しかし、いつか再開できることをめざして、知恵や工夫を出し合ってアフターコロナでの新たなやり方を模索することが大事だと思います。今しばらくは辛抱の時期が続くでしょうが、再び動き出すことを信じて、ダイドーグループとしても世の中を元気にできることをもっと考えていきたいと思います。